キャスティング会社とは？仕事内容から依頼のメリット・デメリットまでプロが解説

CMやWeb広告、イベントなどでタレントやインフルエンサーの起用を検討する際、「誰にどう依頼すればいい？」「費用や契約が複雑で不安」と感じていませんか。結論として、最適なキャストをスムーズかつ安全に起用するには、専門家であるキャスティング会社の活用が最も効果的です。この記事では、キャスティング会社の基本的な役割や仕事内容、芸能事務所との違いといった基礎知識から、依頼するメリット・デメリット、具体的な依頼の流れ、そして失敗しない会社の選び方までを網羅的に解説します。最後まで読めば、自社の企画を成功に導くためのパートナーを見つける具体的な方法が明確にわかります。

キャスティング会社とは 広告主と出演者をつなぐ専門家

キャスティング会社とは、広告、映画、イベントなどに出演するタレント、モデル、俳優、インフルエンサーといった「キャスト」を、起用したい企業（広告主）の要望に合わせて提案し、出演交渉から契約締結までを専門に代行する会社です。企業のプロジェクトの目的やコンセプト、予算などを深く理解し、数多くの芸能事務所や個人の中から最もイメージに合う最適な人材を探し出す「キャスティングのプロフェッショナル集団」と言えます。

広告やプロモーションを成功させる上で、誰を起用するかは極めて重要な要素です。しかし、企業が自ら数多ある芸能事務所に一社ずつ連絡を取り、タレントのスケジュールや出演料を確認し、複雑な契約内容を交渉するのは非常に手間と時間がかかります。キャスティング会社は、そうした煩雑な業務をすべて引き受け、広告主と芸能事務所（または出演者）の間に立つ中立的な「橋渡し役」として、プロジェクトを円滑に成功へと導く重要な役割を担っています。

芸能事務所や広告代理店との違い

キャスティング会社は、しばしば「芸能事務所」や「広告代理店」と混同されがちですが、その役割は明確に異なります。それぞれの立ち位置と目的を理解することで、キャスティング会社の専門性がより明確になります。

以下の表は、それぞれの役割の違いをまとめたものです。

	キャスティング会社	芸能事務所（プロダクション）	広告代理店
主な役割	キャストの提案、出演交渉、契約手続きの代行、撮影当日のサポートなど、キャスティングに関わる全般業務	所属タレント・モデルの育成、マネジメント、スケジュール管理、仕事の獲得	広告全体の戦略立案、企画、メディアバイイング、クリエイティブ制作、効果測定など
主な取引相手	広告主（企業）、広告代理店、芸能事務所	テレビ局、出版社、広告代理店、キャスティング会社など	広告主（企業）
目的	プロジェクトの成功のために、最適なキャストを起用すること	所属タレントの価値を高め、活躍の場を広げること	クライアント（広告主）のマーケティング課題を解決し、広告効果を最大化すること

簡潔に言うと、芸能事務所は「出演者側」の組織であり、所属タレントを売り込むのが仕事です。一方、広告代理店は広告全体の戦略を統括する「司令塔」の役割を担います。その中で、キャスティング会社は「キャスティング」という特定の領域に特化し、広告主の要望と数多くの選択肢を客観的に照らし合わせ、最適なマッチングを実現する専門家なのです。広告代理店が企画した広告のキャスティング部分を、専門家であるキャスティング会社に依頼するというケースも一般的です。

キャスティング会社の主な仕事内容

キャスティング会社は、広告やイベントなどの企画に対して最適な出演者（キャスト）を提案し、契約から撮影当日までを円滑に進めるための専門家です。その仕事内容は多岐にわたりますが、ここでは主な5つの業務内容を詳しく解説します。

企画内容のヒアリングと最適なキャストの提案

キャスティング会社の仕事は、まずクライアントである広告主や広告代理店から、企画内容を詳細にヒアリングすることから始まります。CM、Web動画、イベント、雑誌広告など、媒体の種類や目的、ターゲット層、ブランドイメージ、そして最も重要な予算やスケジュールなどを丁寧に確認します。その上で、長年培ってきた業界でのネットワークや独自のデータベースを駆使し、企画の成功に最も貢献できるキャストをリストアップします。提案の際には、単に知名度や人気だけでなく、企画との親和性、過去の実績、SNSでの影響力なども考慮し、なぜそのタレントや俳優、モデル、インフルエンサーが最適なのかを明確な根拠と共に提案書にまとめて提示します。

出演交渉と契約手続きの代行

起用したいキャストの候補が決まったら、所属する芸能事務所やプロダクションへの出演交渉を行います。この交渉は、クライアントに代わってキャスティング会社がすべて代行します。交渉内容は出演料（ギャラ）だけでなく、契約期間、肖像を利用する媒体の範囲、競合他社製品の広告に出演しない「競合排除」の条件など、非常に多岐にわたります。これらの複雑な交渉を、過去の豊富な取引実績や業界の相場観を基に、クライアントと事務所の双方が納得できる条件で着地させるのがプロの腕の見せ所です。合意に至った内容は、法的な効力を持つ契約書としてまとめ、締結まで責任を持って代行します。

主な交渉・契約項目	内容の具体例
出演料（ギャランティ）	タレントの知名度、稼働内容、契約期間、拘束時間などを基に算出・交渉します。
契約期間と利用範囲	広告が公開される期間（例：1年間）と、テレビCM、Web、SNS、交通広告など肖像を使用する媒体を定めます。
競合排除の条件	契約期間中に、同業他社の広告に出演しないようにする取り決めです。（例：化粧品メーカーのCMなら、他の化粧品メーカーの広告には出ない）
稼働内容とスケジュール	撮影日数、稼働時間、稼働場所、稼働内容（スチール撮影、動画撮影など）を具体的に定めます。

オーディションの開催と運営

複数の候補者の中から最適なキャストを決定したい場合や、新人タレントを発掘したい場合には、オーディションを開催します。キャスティング会社は、オーディションの企画から運営までを一貫して担当します。具体的には、会場の手配、候補者の募集とスケジュール調整、審査員のアサイン、当日の進行管理、合否連絡まで、オーディションに関わるすべての煩雑な業務を代行し、クライアントの負担を大幅に軽減します。これにより、クライアントは純粋にキャストの選考に集中することができます。

撮影やイベント当日のサポート

キャストが決定し契約が完了しても、キャスティング会社の仕事は終わりません。撮影やイベント当日には、現場に立ち会い、円滑な進行をサポートします。具体的には、キャストの送迎やアテンド、控室のケア、食事の手配、全体のスケジュール管理などを行います。何より重要なのは、クライアント、制作スタッフ、そしてキャストや所属事務所マネージャーの間に立ち、コミュニケーションを円滑にする「潤滑油」としての役割です。キャストが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整え、現場での予期せぬトラブルにも迅速に対応することで、制作全体のクオリティ向上に貢献します。

契約期間中の肖像権管理

広告やコンテンツが公開された後も、キャスティング会社の重要な業務は続きます。それが「肖像権の管理」です。契約で定められた期間や媒体、用途以外でキャストの写真や動画が無断で使用されていないかを監視します。例えば、Web広告用に撮影した素材を、許諾なく店頭POPに流用するといった事態は契約違反となります。もし契約範囲外での利用（二次利用）が必要になった場合は、改めて所属事務所と交渉し、追加の契約や料金の調整を行います。この管理を怠ると、高額な違約金の請求やタレントとの信頼関係の失墜など、深刻なトラブルに発展するリスクがあるため、契約期間が満了するまで徹底した管理が求められます。

キャスティング会社に依頼する5つのメリット

広告やイベントを成功させる上で、キャストの人選は極めて重要です。しかし、自社でタレントやインフルエンサーを起用しようとすると、多くの課題に直面します。専門知識を持つキャスティング会社に依頼することで、これらの課題を解決し、プロジェクトの成功確率を格段に高めることができます。ここでは、キャスティング会社に依頼する具体的な5つのメリットを詳しく解説します。

豊富な選択肢から最適なキャストを提案してもらえる

自社でキャストを探す場合、どうしても知名度のあるタレントや過去に接点のあった事務所など、限られた範囲での人選になりがちです。しかし、キャスティング会社は、大手芸能事務所から専門的なプロダクション、フリーランスのモデルやインフルエンサー、文化人まで、業界内に幅広いネットワークを構築しています。
そのため、CM・広告のコンセプト、ターゲット層、ご予算といった様々な条件を基に、数多くの選択肢の中から企画の価値を最大化できる最適なキャストを提案してもらうことが可能です。「話題の若手俳優を起用したい」「特定の趣味を持つインフルエンサーを探している」といった、ニッチな要望にも応えられるのが大きな強みです。

煩雑な交渉や契約業務を任せられる

キャスティングには、出演交渉やスケジュール調整だけでなく、専門的な知識が求められる複雑な契約業務が伴います。これらの業務をすべて自社で対応するには、多大な時間と労力、そして法務知識を持つ人材が必要です。キャスティング会社に依頼すれば、専門家がこれらの煩雑な業務をすべて代行してくれるため、担当者は企画やクリエイティブ制作といった本来注力すべき業務に集中できます。

業務カテゴリ	具体的な業務内容
交渉・調整	芸能事務所への出演打診、出演料（ギャラ）の交渉、撮影や稼働日のスケジュール調整
契約関連	契約書の作成・確認・締結、肖像の利用範囲（媒体、期間など）の取り決め、競合排除（裏かぶり）の確認
支払い関連	出演料の請求・支払い管理、源泉徴収などの経理処理

複数事務所への横断的な交渉が可能

「複数の候補者を比較検討したい」と考えた場合、それぞれの所属事務所に個別に連絡を取り、同じ説明を繰り返して交渉を進める必要があります。これは非常に非効率であり、事務所側との関係性構築も簡単ではありません。
キャスティング会社を間に挟むことで、複数の芸能事務所やプロダクションに対して、中立的な立場で一括して打診・交渉を行えます。各候補者の条件を一覧で比較検討できるため、スムーズかつ公平な選定が実現します。オーディションを開催する際も、複数事務所の候補者をまとめて調整できるため、効率的な運営が可能です。

過去の事例に基づいた的確な料金交渉

タレントやモデルの出演料（ギャラ）には定価が存在せず、その知名度、稼働内容、契約期間、媒体の種類（テレビCM、Web動画、SNS投稿など）によって大きく変動します。業界の相場観がないまま交渉に臨むと、法外な金額を提示されたり、逆に安すぎる金額を提示して交渉が決裂したりするリスクがあります。
キャスティング会社は、過去の膨大な取引データや最新の業界動向に基づいた適正な相場観を持っています。この知見を活かして、予算内で最大限の成果を出せるよう的確な料金交渉を行ってくれるため、結果的にコストパフォーマンスの向上につながります。

炎上リスクなどトラブルを未然に防げる

現代において、起用したキャストの過去の言動が原因でSNSが炎上し、広告キャンペーン自体が中止に追い込まれるケースは少なくありません。また、契約内容の認識齟齬から、後々「契約外の媒体で肖像を使われた」といったトラブルに発展する可能性もあります。
プロのキャスティング会社は、コンプライアンスを重視し、事前に候補者の経歴やSNSでの発言などを調査（バックグラウンドチェック）することで、こうしたレピュテーションリスクを低減します。さらに、契約書に二次利用や競合の範囲を明記するなど、法的な観点からトラブルの芽を摘んでくれます。万が一、撮影当日の遅刻や急な体調不良といった不測の事態が発生した際も、事務所との間に入って迅速かつ適切に対応してくれるため、安心してプロジェクトを進行できます。

キャスティング会社に依頼するデメリット

キャスティング会社への依頼は、専門的な知見や幅広いネットワークを活用できるなど多くの利点がありますが、一方でいくつかのデメリットや注意点も存在します。依頼を決定する前にこれらの点を十分に理解し、自社のプロジェクトの予算やスケジュールと照らし合わせて総合的に判断することが、キャスティング成功の鍵となります。

仲介手数料（キャスティングフィー）が発生する

キャスティング会社を利用する上で最も直接的なデメリットは、費用面です。自社で直接芸能事務所などと交渉する場合に比べて、キャスティング会社への仲介手数料（キャスティングフィー）が追加で発生します。この手数料は、キャスティング会社が提供する専門的なサービスへの対価であり、企画に最適なキャストの提案から、複雑な出演交渉、契約手続きの代行、撮影当日のサポート、契約期間中の肖像権管理まで、多岐にわたる業務をカバーするためのものです。

手数料の相場は、案件の規模や難易度、キャスティングするタレントの知名度によって変動しますが、一般的には「タレントの出演料（ギャラ）の20%～30%」が目安とされています。例えば、出演料が100万円の場合、20万円から30万円がキャスティングフィーとして上乗せされる計算になります。

項目	直接契約の場合	キャスティング会社を利用する場合
タレント出演料（ギャラ）	100万円	100万円
仲介手数料（キャスティングフィー）	0円	20万円～30万円（出演料の20%～30%と仮定）
合計コスト	100万円	120万円～130万円

このように、総額で見ると費用は確実に増加します。そのため、限られた予算内で最大限の効果を求める場合、この手数料が負担になる可能性があります。自社で交渉や契約管理を行うリソースやノウハウがあるか、手数料を支払ってでもプロに任せることで得られる時間的コストの削減やリスク回避といったメリットの方が大きいかを、慎重に天秤にかける必要があります。

直接交渉より時間がかかる場合がある

キャスティング会社を介することで、コミュニケーションの階層が増え、結果として意思決定や情報伝達に時間がかかるケースがあります。広告主からキャスティング会社、そして芸能事務所へと情報が伝達される過程で、確認や返答にタイムラグが生じることがあります。特に、企画内容の細かなニュアンスの調整や、急な変更事項の伝達において、直接交渉するよりもどかしさを感じる場面があるかもしれません。

急を要する案件や、特定のタレント一人に絞って迅速にアプローチしたい場合には、このコミュニケーションのステップがボトルネックになる可能性を考慮しておくべきです。また、担当者との意思疎通がうまくいかない場合、意図が正確に伝わらず、企画の方向性にズレが生じるリスクもゼロではありません。ただし、これは一概にデメリットとは言えず、複数の事務所へ同時に横断的な打診を行う場合など、結果的にトータルの選定時間を短縮できるケースも多いため、プロジェクトの状況に応じた判断が求められます。

キャスティング依頼の流れを5ステップで解説

初めてキャスティング会社に依頼する場合、どのような流れで進むのか不安に思う方も多いでしょう。ここでは、一般的なキャスティング依頼の流れを5つのステップに分けて具体的に解説します。全体のプロセスを把握することで、スムーズなキャスト起用を実現できます。

ステップ1 お問い合わせとヒアリング

まずは、キャスティング会社の公式サイトにあるお問い合わせフォームや電話で連絡を取ることから始まります。この最初の段階で、企画の成功を左右する重要なヒアリングが行われます。

ヒアリングでは、企画内容やキャストに求めるイメージをできるだけ具体的に伝えることが、最適な提案を受けるための鍵となります。キャスティング会社は、共有された情報をもとに、プロジェクトの方向性を正確に理解し、候補者の選定に着手します。

ヒアリングで主に伝えるべき情報は以下の通りです。

項目	伝える内容の例
企画概要	CM、Web広告、イベント、SNSキャンペーンなどの目的や内容
ターゲット層	20代女性、ファミリー層など、商品やサービスの対象者
希望キャスト	タレント、モデル、インフルエンサー、文化人などのジャンル、具体的なイメージ、希望の人物像
予算	キャストの出演料（ギャラ）を含めた、キャスティングにかけられる総予算
スケジュール	撮影・イベントの希望日、情報公開日、契約開始・終了時期など
広告の媒体と期間	テレビ、Webサイト、SNS、交通広告など、肖像を使用する媒体とそれぞれの掲出期間

ステップ2 企画に合わせたキャストの提案

ヒアリングの内容に基づき、キャスティング会社がプロジェクトに最適なキャストの候補者をリストアップし、提案してくれます。提案資料には通常、候補者のプロフィール、過去の出演実績、SNSのフォロワー数といった基本情報に加え、出演料の目安や起用にあたっての条件などが記載されています。

自社で直接探す場合には得られない、複数の芸能事務所にまたがる幅広い選択肢から、企画の意図や予算に最も合った候補者を比較検討できるのが、このステップの大きなメリットです。提案内容に不明点があれば、遠慮なく質問し、納得のいくまで検討しましょう。

ステップ3 出演交渉とオーディション

提案された候補者の中から起用したいキャストの方向性が固まったら、キャスティング会社を通じて具体的な出演交渉に入ります。この交渉には、出演料（ギャラ）、撮影スケジュール、契約期間、肖像の利用範囲といった細かな条件のすり合わせが含まれます。

また、複数の候補者の中から最終的な1名を決定したい場合や、演技力・スキルを直接確認したい場合には、オーディションを開催することもあります。キャスティング会社は、オーディションの会場手配、候補者への連絡、当日の進行管理まで、開催に関わる煩雑な業務をすべて代行してくれるため、依頼主は選考に集中できます。

ステップ4 契約締結

出演者と諸条件の合意が取れたら、正式な契約を締結します。キャスティング会社が契約書の雛形を用意し、内容のリーガルチェックを行った上で、依頼主と所属事務所（または本人）の間で契約を取り交わします。

契約書には、出演料、支払い条件、契約期間、肖像権の利用範囲（媒体、地域、期間など）、競合他社の広告出演を制限する「競合規定」など、非常に重要な項目が含まれます。後々のトラブルを避けるためにも、契約内容は隅々まで確認し、不明点や懸念点は必ずこの段階で解消しておくことが不可欠’mark>です。

ステップ5 撮影当日とアフターフォロー

契約締結後、いよいよ撮影やイベント本番を迎えます。キャスティング会社は、当日の現場にも立ち会い、キャストが最高のパフォーマンスを発揮できるようサポートします。具体的には、現場への送迎手配、控室のケア、撮影スケジュールの管理、現場での細かな確認事項の仲介など、多岐にわたります。

さらに、プロジェクト終了後も役割は終わりません。契約期間中の肖像権管理や、契約更新の際の交渉、出演者への支払い代行といったアフターフォローまで一貫して対応します。依頼からプロジェクト完了後まで、一貫したサポートを受けられるのが、キャスティング会社を利用する大きな安心材料と言えるでしょう。

失敗しないキャスティング会社の選び方

キャスティング会社は数多く存在し、どの会社に依頼するかがプロモーションやイベントの成否を大きく左右します。自社のプロジェクトに最適なパートナーを見つけるためには、いくつかの重要なポイントを押さえて比較検討することが不可欠です。ここでは、キャスティング会社選びで失敗しないための4つの選定基準を詳しく解説します。

実績が豊富か

まず最初に確認すべきなのは、キャスティング会社の実績です。過去の実績は、その会社の信頼性や業界内でのネットワーク、そしてトラブル対応力を測る最も分かりやすい指標と言えます。公式サイトの「実績紹介」や「事例」ページを必ずチェックしましょう。

確認する際は、単に実績の数を見るだけでなく、どのような業種のクライアントと、どのような案件（テレビCM、Web広告、雑誌、イベント登壇など）を手掛けてきたかを確認します。自社が企画しているプロモーションと近いジャンルの実績が豊富であれば、企画意図をスムーズに理解し、的確な提案をしてもらえる可能性が高まります。また、大手企業や有名ブランドとの取引実績が多ければ、それだけ大規模な案件を動かすノウハウや、厳格なコンプライアンス基準に対応できる体制が整っている証拠とも言えるでしょう。

得意なジャンルが自社と合っているか

キャスティング会社には、それぞれ得意とするジャンルや強みがあります。俳優やタレントを幅広く扱う総合的な会社もあれば、特定の分野に特化した会社も存在します。自社の商材やターゲット層、そして起用したいキャストのジャンルと、キャスティング会社の強みが一致しているかを確認することが不可欠です。

例えば、若年層向けのSNSキャンペーンで影響力のあるインフルエンサーを起用したい場合、インフルエンサーマーケティングに特化した会社の方が、より多くの選択肢と効果的な活用法を提案してくれるでしょう。下記の表を参考に、各社の得意分野を見極めましょう。

得意ジャンル	特徴と確認すべきポイント
俳優・タレント	テレビCMや大規模な広告キャンペーンに強みを持ちます。幅広い年代のタレントを扱っているか、特定の芸能事務所とのパイプが強いかなどを確認しましょう。
モデル	ファッション誌やアパレルブランドの広告、ECサイトの着用モデルなどに特化しています。日本人モデルだけでなく、外国人モデルやキッズモデルなど、対応範囲の広さがポイントになります。
インフルエンサー	YouTubeやInstagram、TikTokなど、特定のSNSプラットフォームに強い影響力を持つキャストを専門とします。フォロワー数だけでなく、エンゲージメント率やフォロワー層の属性データまで分析できる会社が望ましいです。
文化人・専門家・アスリート	商品の信頼性や専門性をアピールしたい場合に強みを発揮します。医師や弁護士、料理研究家、元アスリートなど、企画内容に合った専門分野のキャスティング実績があるかを確認します。

提案力や対応の速さは十分か

優れたキャスティング会社は、単に依頼されたキャストを手配するだけの「御用聞き」ではありません。企画の目的や予算、ターゲット層を深く理解し、より効果的なキャストを積極的に提案してくれる「パートナー」です。問い合わせや打ち合わせの際に、こちらの意図を汲み取り、想定していなかったような魅力的な選択肢や、リスクを考慮した代替案を提示してくれるかどうかが、提案力を見極めるポイントです。

また、対応の速さも非常に重要です。人気タレントのスケジュールは日々刻々と変化するため、問い合わせへの返信や交渉状況の報告が遅いと、絶好の機会を逃してしまう可能性があります。担当者との相性やコミュニケーションの質も、プロジェクトを円滑に進める上で非常に重要な要素となるため、最初の問い合わせ段階からレスポンスの速さや丁寧さをチェックしておきましょう。

料金体系が明確か

安心して依頼するためには、料金体系の透明性が不可欠です。キャスティングにかかる費用は、主にキャスト本人に支払われる「出演料」と、キャスティング会社に支払う「キャスティングフィー（仲介手数料）」で構成されます。不明瞭な見積もりは、後々のトラブルの原因になりかねません。

見積もりを依頼する際は、キャスティングフィーが何に対する手数料なのか（例：出演料の20%など）、その算出根拠が明確に示されているかを確認しましょう。また、オーディションの開催費用や、撮影が延長した場合の追加料金など、どこからがオプション料金になるのかを事前に詳しく説明してくれる会社は信頼できます。契約前に費用に関する疑問点をすべて解消し、納得のいく料金体系の会社を選ぶことが、予算内でプロジェクトを成功させるための鍵となります。複数の会社から相見積もりを取り、サービス内容と料金を比較検討することも有効な手段です。

おすすめのキャスティング会社を紹介

数あるキャスティング会社の中から、自社の目的や企画に合った会社を選ぶのは簡単ではありません。ここでは、実績や専門分野が異なるおすすめのキャスティング会社を3つのタイプに分けてご紹介します。それぞれの特徴を比較し、最適なパートナー選びの参考にしてください。

幅広いジャンルに対応する総合キャスティング会社

株式会社クロスアイ

俳優・タレントからインフルエンサー、文化人まで、ジャンルを問わず幅広いキャスティングを検討している企業には、総合キャスティング会社がおすすめです。中でも株式会社クロスアイは、豊富な実績と幅広いネットワークを持つ代表的な一社です。

項目	内容
会社名	株式会社クロスアイ
特徴	5,000名以上の豊富なキャスティング実績。オンラインオーディションにも対応。
得意なジャンル	タレント、俳優、モデル、インフルエンサー、文化人、専門家、アスリートなどオールジャンル
対応案件	テレビCM、Web広告、イベント、SNSプロモーション、企業アンバサダーなど

クロスアイの強みは、その圧倒的な対応ジャンルの広さと、企画内容に応じて最適な人材を提案する企画力です。特定のジャンルに偏らず、あらゆる芸能事務所やプロダクションと連携しているため、広告のターゲット層やブランドイメージに合わせた多角的な提案が可能です。テレビCMには人気俳優を、若者向けのSNSキャンペーンには話題のYouTuberを、といったようにメディアや企画の特性を深く理解した上でキャスティングプランを構築します。初めてキャスティング会社を利用する企業にとって、心強いパートナーとなるでしょう。

インフルエンサーに特化したキャスティング会社

株式会社BitStar

SNSマーケティングやWebプロモーションで高い効果を狙うなら、インフルエンサーキャスティングに特化した会社が最適です。株式会社BitStarは、インフルエンサーマーケティングのリーディングカンパニーとして知られています。

項目	内容
会社名	株式会社BitStar
特徴	独自の分析ツールを活用したデータドリブンなキャスティング。企画から効果測定まで一気通貫でサポート。
得意なジャンル	YouTuber、Instagrammer、TikTokerなどのインフルエンサー全般
対応案件	タイアップ動画、SNS投稿、ライブコマース、イベント出演など

BitStarは、単にフォロワー数で選ぶのではなく、独自の分析ツールでインフルエンサーのフォロワー層や過去の実績を徹底的に分析します。これにより、商品やサービスと親和性が高く、実際にコンバージョンにつながる可能性の高いインフルエンサーを科学的根拠に基づいて選定できるのが魅力です。企画立案から制作ディレクション、投稿後の効果測定までワンストップで依頼できるため、インフルエンサーマーケティングのノウハウがない企業でも安心して任せられます。

モデルキャスティングに強い会社

株式会社YOU MAY Casting

ファッションブランドの広告やカタログなど、ビジュアルイメージが特に重要な案件では、モデルキャスティングに強みを持つ会社が頼りになります。株式会社YOU MAY Castingは、モデル業界に精通した専門性の高いキャスティング会社です。

項目	内容
会社名	株式会社YOU MAY Casting（ユーメイキャスティング）
特徴	国内外のモデル事務所との強力なネットワーク。ファッション・ビューティー分野の高い専門性。
得意なジャンル	ファッションモデル、パーツモデル、キッズモデル、シニアモデル、外国人モデルなど
対応案件	雑誌広告、カタログ、Webサイト、ファッションショー、CM、スチール撮影など

YOU MAY Castingは、広告のコンセプトやブランドの世界観を深く理解し、それを体現できる最適なモデルを提案することに長けています。国内の主要モデル事務所はもちろん、海外の事務所とも連携し、日本人から外国人、パーツモデルまであらゆるニーズに対応可能です。経験豊富なキャスティングディレクターがオーディションから撮影現場まで細やかにサポートするため、クオリティの高いクリエイティブ制作を実現できます。アパレルやコスメ業界の企業にとって、ブランド価値を高める上で欠かせない存在です。

まとめ

本記事では、キャスティング会社の仕事内容から依頼するメリット・デメリット、依頼の流れ、そして失敗しない選び方までを網羅的に解説しました。キャスティング会社は、広告やイベントの企画において、広告主と最適なタレントやインフルエンサーといった出演者をつなぐ専門家です。

仲介手数料というデメリットはありますが、それを上回る「最適なキャストの提案」「煩雑な交渉・契約業務の代行」「炎上などトラブルの未然防止」といった大きなメリットが存在します。自社で直接交渉する手間や時間、専門知識不足によるリスクを考慮すると、キャスティング会社への依頼は費用対効果の高い選択肢と言えるでしょう。

キャスティングを成功させる結論は、自社の目的や企画に合った信頼できるパートナーを見つけることです。本記事で紹介した「実績の豊富さ」や「得意ジャンル」などの選び方を参考に、まずは一度、専門のキャスティング会社に相談してみてはいかがでしょうか。

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株式会社クロスアイ