新リース会計基準はいつから?変更点と実務対応をわかりやすく解説

    「新リース会計基準」の適用が迫り、自社への影響や具体的な対応方法について情報収集されている経理担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、新リース会計基準がいつから適用されるのか、これまでの基準から何が変わるのか、そして企業が取るべき実務対応のステップまで、図解を交えて専門家がわかりやすく解説します。結論から言うと、今回の改正で最も大きな変更点は、これまで貸借対照表に計上されていなかったオペレーティング・リースを含め、原則「すべてのリース」が資産・負債として計上(オンバランス化)されることです。この背景には、国際的な会計基準であるIFRS(国際財務報告基準)との整合性を図る目的があります。この記事を最後まで読めば、新基準の全体像から、簡便的な取り扱いが認められる短期・少額リースの条件、実務に落とし込むための具体的な手順まで、対応に必要な知識を網羅的に理解できます。

    目次

    新リース会計基準とは そもそも何が変わるのか

    新リース会計基準とは、企業会計基準委員会(ASBJ)が開発を進めている、リース取引に関する新しい会計処理のルールです。これまで日本の会計基準では、リースの種類によって会計処理が異なりましたが、今回の改正でその考え方が大きく変わります。最大の変化点は、これまで費用処理のみでよかった「オペレーティング・リース」を含め、原則としてすべてのリース取引を資産・負債として貸借対照表(B/S)に計上(オンバランス化)することです。これにより、企業の財務状況がより実態に近く、かつ正確に財務諸表へ反映されることになります。

    この変更は、特にオフィスや店舗の賃貸借契約、コピー機のリースなど、これまでオフバランス処理してきた多くの契約に影響を及ぼすため、すべての企業にとって無関係ではありません。本章では、この新リース会計基準の基本的な考え方と、なぜ今、改正が必要とされているのかを深掘りしていきます。

    これまでのリース会計基準との違い

    新リース会計基準を理解するためには、まずこれまでのルールとの違いを把握することが重要です。従来の会計基準では、リース取引を「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の2つに分類し、それぞれ異なる会計処理を行っていました。

    ファイナンス・リースとは、契約の解約が不可能で、かつリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受できるなど、資産を購入した場合と経済的実態がほぼ同じ取引を指します。この場合、リース資産とリース債務を貸借対照表に計上(オンバランス)していました。

    一方、オペレーティング・リースはファイナンス・リース以外のすべてのリース取引を指し、支払ったリース料を費用として損益計算書(P/L)に計上するだけで、貸借対照表への計上は不要(オフバランス)でした。

    新リース会計基準では、借手においてこのファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分が原則として廃止されます。以下の表で、その違いを整理します。

    比較項目これまでの会計基準新リース会計基準
    リースの分類(借手)ファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類原則としてすべてのリースを単一のモデルで会計処理(分類なし)
    貸借対照表(B/S)への計上ファイナンス・リースのみ資産・負債を計上(オンバランス)。オペレーティング・リースは計上不要(オフバランス)。短期・少額などの一部例外を除き、すべてのリースで「使用権資産」と「リース負債」を計上(オンバランス)
    損益計算書(P/L)への計上ファイナンス・リースは減価償却費と支払利息を計上。オペレーティング・リースは支払リース料を費用計上。原則として減価償却費と支払利息を計上。

    なぜ今リース会計基準が改正されるのか IFRSとの関係

    今回のリース会計基準改正の背景には、国際的な会計基準との整合性(コンバージェンス)を図るという大きな目的があります。近年、グローバルに事業展開する企業が増え、海外の投資家が日本の企業の財務諸表を他国の企業と比較する機会が増加しました。

    しかし、これまでの日本の会計基準では、オペレーティング・リースがオフバランス処理されるため、多額のリース契約を抱えていても、その実態が貸借対照表に現れませんでした。これは、国際財務報告基準(IFRS)の「IFRS第16号」や米国会計基準(US-GAAP)がすでにリース取引のオンバランス化を進めている中で、大きな差異となっていました。

    このような状況は、投資家が企業の隠れた債務を把握しにくくさせ、正確な企業価値の評価を困難にする要因と指摘されていました。そこで、日本の会計基準も国際的な潮流に合わせ、財務諸表の透明性と企業間の比較可能性を高めることを目的に、今回の改正が進められることになったのです。これにより、投資家はより実態に即した情報に基づいて投資判断を下せるようになります。

    新リース会計基準はいつから適用される?

    新リース会計基準 適用スケジュール 2024年 2025年 2026年 2027年 2028年 早期適用 (2024/4/1~) IFRS適用企業など 早期適用可能期間 強制適用: 3月決算企業 (2026/4/1~) 対象: 2027年3月期から 新基準 適用開始 強制適用: 12月決算企業 (2027/1/1~) 対象: 2027年12月期から 新基準 適用開始 ※日付は「会計年度の開始日」を指します。決算月により適用開始時期が異なります。

    多くの経理担当者や経営者が最も気になっているのが、「新しいリース会計基準がいつから適用されるのか」という点でしょう。結論から言うと、強制適用の時期は定められていますが、企業の判断で早期に適用することも可能です。ここでは、強制適用の開始時期と早期適用の可否について、具体的なスケジュールを交えながら詳しく解説します。

    強制適用の開始時期

    日本の新しいリース会計基準は、原則として2026年4月1日以降に開始する会計年度の期首から強制適用されます。これは、企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した公開草案で示されている方針です。金融商品取引法の適用を受ける上場企業やその連結子会社、会計監査人設置会社である大会社などが主な対象となります。

    具体的な適用開始日をイメージしやすいように、決算月ごとの例を見てみましょう。

    決算月 強制適用の開始日 対象となる事業年度
    3月決算の企業 2026年4月1日 2027年3月期
    12月決算の企業 2027年1月1日 2027年12月期

    このように、自社の決算月に応じて適用開始のタイミングが変わるため、注意が必要です。特に、新基準への対応にはリース契約の洗い出しやシステム改修など、相応の準備期間が必要となります。強制適用開始から逆算し、計画的に準備を進めることが重要です。

    早期適用は可能か

    今回のリース会計基準の改正では、早期適用も認められています。具体的には、2024年4月1日以降に開始する会計年度の期首から適用することが可能です。すでに国際的な会計基準であるIFRS第16号を適用しているグローバル企業との比較可能性を高めたい企業や、先行して会計システムを刷新したい企業にとっては、早期適用が有効な選択肢となります。

    ただし、早期適用を選択する際にはいくつかの注意点があります。まず、一度早期適用を選択した場合、その後の会計年度で元の基準に戻すことはできません。また、連結財務諸表で早期適用する場合には、個別財務諸表においても同時に適用する必要があります。早期適用を検討する際は、システム対応や業務フローへの影響を十分に評価し、慎重に判断することが求められます。

    強制適用と早期適用のスケジュールを比較すると、以下のようになります。

    適用区分 適用開始が可能な最も早い時期 主な検討理由
    早期適用 2024年4月1日以降開始の会計年度 IFRS適用企業との比較可能性向上、先行対応による業務の平準化
    強制適用 2026年4月1日以降開始の会計年度 法令等で定められた最低限のスケジュールに沿った対応

    自社の置かれた状況や経営戦略を踏まえ、どちらのタイミングで新基準へ移行するのが最適か、早めに検討を開始することをおすすめします。

    【図解】新リース会計基準の3つの大きな変更点

    図解:新リース会計基準の3つの大きな変更点 1. 原則オンバランス化 (B/Sへの影響) 旧基準 計上なし リース契約 新基準 (借手) 使用権資産 リース負債 2. 損益計算書 (P/L) の費用パターン変化 期間 費用 旧: 定額 (賃借料) 新: 先行費用型 (償却費+利息) 初期負担増 3. 借手と貸手の会計処理の違い 借手 (借りる側) 大きく変更あり vs 貸手 (貸す側) 変更なし

    2019年3月に公表された企業会計基準第31号「リースに関する会計基準」は、これまでの会計処理に大きな変革をもたらします。特に「借手」側の企業にとっては、財務諸表への影響が大きいため、変更点の正確な理解が不可欠です。ここでは、新リース会計基準における特に重要な3つの変更点を、図や表を交えながらわかりやすく解説します。

    変更点1 すべてのリースが原則オンバランス化

    新リース会計基準における最も大きな変更点は、これまでオフバランス処理が認められていたオペレーティング・リース取引を含め、原則としてすべてのリースを資産・負債として貸借対照表(B/S)に計上する「オンバランス化」が義務付けられたことです。これにより、企業の財務実態がより透明性の高い形で投資家などに開示されることになります。

    使用権資産とリース負債の計上

    新基準では、借手はリース契約の開始日に、リースする資産を使用する権利を「使用権資産」として資産計上し、将来のリース料支払義務を「リース負債」として負債計上します。具体的には、貸借対照表の借方(資産の部)に「使用権資産」が、貸方(負債の部)に「リース負債」がそれぞれ計上されることになります。これにより、これまで費用として処理するだけであったリース契約が、企業の資産と負債の両方に影響を与えることになります。

    オフバランスだったオペレーティングリースの扱い

    従来の会計基準では、リース取引は「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に分類されていました。このうち、レンタルや短期の賃貸借契約に近いオペレーティング・リースは、資産計上されず(オフバランス)、支払リース料を費用として計上するだけで済みました。しかし、新基準ではこの区分が廃止され、短期・少額などの一部の例外を除き、すべてのリース契約がオンバランスの対象となります。

    項目旧リース会計基準新リース会計基準
    貸借対照表(B/S)計上なし(オフバランス)「使用権資産」と「リース負債」を計上(オンバランス)
    損益計算書(P/L)支払リース料を費用計上減価償却費と支払利息を費用計上

    変更点2 損益計算書への影響

    オンバランス化に伴い、損益計算書(P/L)における費用の計上方法も大きく変わります。従来は、リース期間中、毎月定額の「支払リース料」を費用として計上していました。しかし、新基準では、資産計上された「使用権資産」に対する減価償却費と、「リース負債」に対する支払利息をそれぞれ費用として計上します。

    支払利息は、リース負債の残高に対して計算されるため、返済が進むにつれて減少していきます。その結果、費用の合計額はリース期間の初期に大きく、期間の後半になるにつれて小さくなる「先行費用型」の費用計上パターンとなります。これは、営業利益やEBITDA(利払前・税引前・減価償却前利益)といった経営指標にも影響を与えるため注意が必要です。

    項目旧リース会計基準(オペレーティング・リース)新リース会計基準
    費用科目支払リース料減価償却費 + 支払利息
    費用計上パターン定額先行費用型(期間初期に費用が大きくなる)

    変更点3 借手と貸手で異なる会計処理

    今回のリース会計基準の改正は、主に「借手」側の会計処理を国際的な会計基準(IFRS第16号)に近づけることを目的としています。そのため、「貸手」(リース会社など資産を貸す側)の会計処理については、従来の会計基準から実質的な変更はありません

    貸手は引き続き、リース取引を「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に分類し、それぞれに応じた会計処理を行います。このように、新基準適用後は、同じリース契約であっても借手と貸手で会計処理の方法が異なる「非対称」な状態となる点を理解しておくことが重要です。

    企業がすべき実務対応のステップ

    新リース会計基準の適用に向けて、企業は計画的に準備を進める必要があります。具体的には、「リース契約の洗い出し」「会計方針の決定と影響額の試算」「会計システムの準備と改修」という3つのステップで対応を進めるのが一般的です。ここでは、各ステップで具体的に何をすべきかを詳しく解説します。

    ステップ1 対象となるリース契約の洗い出し

    最初に行うべきことは、社内に存在するすべてのリース契約を漏れなく把握することです。これまで費用処理していたオペレーティング・リースも対象となるため、経理部門だけでなく、資産を管理する各事業部門や法務部門との連携が不可欠となります。

    まずは、賃貸借契約書や業務委託契約書など、契約の名称にかかわらず、実質的にリースに該当する可能性のある契約をすべてリストアップします。その上で、個々の契約について以下の点を確認し、新基準の適用対象となるかを判断します。

    • 契約の中に「識別される資産」が存在するか
    • その資産の使用を「実質的に支配する権利」を有しているか
    • リース期間、リース料、更新や解約に関するオプションの有無

    特に、これまで経費として処理していたコピー機のリースや店舗の賃貸借契約なども対象となるため、網羅的な洗い出しが極めて重要です。この段階で作成したリース契約管理台帳が、後のステップの基礎となります。

    ステップ2 会計方針の決定と影響額の試算

    次に、洗い出したリース契約に対して、自社がどのような会計方針を適用するかを決定します。新基準では、企業の判断に委ねられる項目がいくつか存在するため、事前に方針を固めておく必要があります。

    主な検討事項は以下の通りです。

    • 簡便的な取り扱いの適用方針:短期リースや少額リースを適用する具体的な基準(金額など)を定めます。
    • リース期間の算定:延長オプションや解約オプションをどのように考慮してリース期間を決定するかを定めます。
    • 割引率の決定:リース負債の計算に用いる割引率を、追加借入利子率などを用いてどのように算定するかを定めます。

    会計方針が決定したら、それに基づいて財務諸表への影響額を試算します。特に、これまでオフバランスだったオペレーティング・リースが資産・負債として計上されることで、総資産が増加し、自己資本比率や負債比率といった財務指標が悪化する可能性があります。金融機関との融資契約における財務制限条項(コベナンツ)に抵触するリスクがないかなど、早期に影響を把握し、関係者への説明準備を進めることが肝心です。

    ステップ3 会計システムの準備と改修

    新リース会計基準では、使用権資産の減価償却費とリース負債の支払利息を計算するなど、従来の会計処理よりも複雑な計算と管理が求められます。そのため、会計システムの対応が不可欠です。

    まずは、現在使用している会計システムや固定資産管理システムが、新基準に対応可能かを確認します。対応していない場合は、以下の選択肢を検討することになります。

    • 既存システムのバージョンアップまたは改修
    • 新基準に対応したリース管理システム(クラウド型など)の新規導入
    • 会計システムと連携可能なアドオンツールの導入

    契約数が数十件以上になる場合、Excelなどでの手作業による管理は、計算ミスや属人化のリスクが非常に高くなります。契約内容の変更に伴う再測定など、複雑な処理にも対応できるシステムを導入することで、経理業務の効率化と内部統制の強化につながります。

    【事例】対応プロセス

    同社は、経理部、店舗開発部、法務部からなる部門横断のプロジェクトチームを発足させ、計画的に対応を進めました。具体的な対応プロセスは以下の通りです。

    フェーズ主な対応内容ポイント
    ステップ1:洗い出し全国約50店舗の不動産賃貸借契約、サウナストーブや冷却装置(チラー)等の設備リース契約をすべてリストアップし、管理台帳を作成。店舗ごとに契約形態が異なるため、現場担当者へのヒアリングを徹底し、契約内容を正確に把握した。
    ステップ2:方針決定・試算顧問会計士と協議の上、少額リースの適用基準を「50万円以下」と決定。試算の結果、負債比率が約10%上昇することが判明。主要取引銀行に対し、基準変更に伴う財務指標への影響を事前に説明し、良好な関係を維持した。
    ステップ3:システム対応既存の会計システムでは対応が困難と判断し、クラウド型のリース管理システムを導入。契約情報の一元管理と会計処理の自動化を実現。システム導入により、月次決算の早期化と監査対応の工数削減に成功した。

    早期に専門家を交えたプロジェクトチームを立ち上げ、各ステップを計画的に実行することが、新リース会計基準へのスムーズな移行を成功させる鍵と言えるでしょう。

    簡便的な取り扱いと対象外となるリース

    新リース会計基準:例外規定の全体像 原則:すべてのリースをオンバランス化 簡便的な取り扱い (契約単位) ① 短期リース リース期間が12ヶ月以内 ② 少額リース 価値が僅少 (例: 5,000ドル以下) オフバランス処理が可能 (賃貸借処理 / 費用計上) 適用対象外 (企業単位) 中小企業など ・金融商品取引法の適用外 ・大会社 (資本金5億/負債200億) 以外 ・上記の子会社・関連会社以外 ・会計監査人非設置 強制適用なし (従来通りの処理を継続) ※実務負担軽減のため、これらの例外規定を適切に活用することが重要です。

    新リース会計基準では、原則としてすべてのリース契約を使用権資産とリース負債として貸借対照表(B/S)に計上する「オンバランス化」が求められます。しかし、すべてのリース契約に対して厳密な会計処理を行うことは、企業にとって大きな実務負担となりかねません。そのため、実務上の負担を軽減するための「簡便的な取り扱い」が例外として認められています。また、そもそも新会計基準の適用対象とならない企業も存在します。ここでは、これらの例外規定について詳しく解説します。

    短期リースと少額リース

    簡便的な取り扱いの代表例が「短期リース」と「少額リース」です。これらの要件を満たすリース契約については、使用権資産とリース負債を計上せず、従来通り支払うリース料を費用として計上する会計処理(オフバランス処理)が認められます。この簡便法を採用するかどうかは、企業の会計方針として選択することができます。

    項目 短期リース 少額リース
    対象となるリース リース期間が12ヶ月以内であるリース契約。購入オプションの行使が合理的に確実である場合など、実質的なリース期間が12ヶ月を超える場合は対象外となります。 リース資産の価値が僅少であるリース契約。例えば、PC、コピー機、事務用家具などが該当します。個々のリース資産単位で判断します。
    金額基準の目安 金額による基準はありません。リース期間のみで判断します。 日本の会計基準では明確な金額は定められていませんが、国際的な基準(IFRS)では新品購入時の価額で5,000米ドル以下が例示されています。企業の実態に応じて、重要性の観点から金額基準を設定する必要があります。
    会計処理 使用権資産・リース負債を計上せず、支払リース料を賃貸借処理(費用計上)します。従来のオペレーティング・リースと同様の会計処理です。
    メリット 資産・負債の計上や減価償却計算、利息計算が不要となるため、経理業務の負担を大幅に軽減できます。

    これらの簡便的な取り扱いを適用することで、企業は重要性の低い多数のリース契約に関する複雑な会計処理から解放され、より重要な契約の管理に集中することが可能になります。

    適用対象となる企業の範囲

    新リース会計基準は、日本のすべての企業に一律で強制適用されるわけではありません。当面、適用が求められるのは、主に上場企業や大会社とその関係会社です。

    具体的には、以下の企業が適用対象となります。

    • 金融商品取引法の適用を受ける上場企業など
    • 会社法上の大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上)
    • 上記の企業の子会社および関連会社
    • 会計監査人を設置している会社

    一方で、上記に該当しない中小企業については、当面の間、新リース会計基準の強制適用はありません。これらの中小企業は、引き続き「中小企業の会計に関する指針」に沿って、所有権移転外ファイナンス・リース取引を除き、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うこと(オフバランス処理)が認められています。自社が新基準の適用対象であるかどうかを正確に把握することが、実務対応を進める上での最初の重要なステップとなります。

    まとめ

    本記事では、新リース会計基準の概要、変更点、適用時期、そして企業が取るべき実務対応について解説しました。新会計基準の最大のポイントは、これまでオフバランス処理が可能だったオペレーティング・リースを含め、原則としてすべてのリース契約を貸借対照表に「使用権資産」および「リース負債」として計上(オンバランス化)する点にあります。

    この改正は、IFRS(国際財務報告基準)とのコンバージェンスを目的としており、企業の財政状態をより正確に財務諸表へ反映させ、国際的な比較可能性を高めるために行われます。これにより、企業の総資産が増加し、自己資本比率などの財務指標に影響を与える可能性があります。

    新リース会計基準は、2026年4月1日以降に開始する事業年度からの強制適用が予定されていますが、早期適用も認められています。適用に向けて、企業は対象となるリース契約の網羅的な洗い出し、会計方針の決定、影響額の試算、そして会計システムの改修といった準備を計画的に進める必要があります。

    ただし、短期リースや少額リースについては簡便的な会計処理が認められており、すべてのリースが厳格な資産計上の対象となるわけではありません。自社がどのリース契約を保有し、新基準によってどのような影響を受けるのかを早期に把握し、余裕を持った対応を心がけましょう。

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